NVIDIAのBlackwell世代GPU「GeForce RTX 5070 Ti」を搭載したGigabyte製グラフィックボードの1台で、通常の監視ソフトからは確認できないホットスポット温度が107℃に達していたことが分かりました。
確認されたのは、過熱症状が出ていたGigabyte製カードの1台です。ブラジルの修理専門家がNVIDIAの内部診断ツールを使って調査したところ、平均GPU温度は67〜68℃と一見正常だったものの、平均GPU温度は67〜68℃と一見正常だったものの、局所的なホットスポット温度は107℃に達していました。
今回は、通常の温度表示だけでは見つけにくかった過熱の原因と、修理によってどこまで改善したのかを整理します。
通常ツールでは確認できなかった107℃のホットスポット
今回調査されたのは、過熱症状を抱えて修理に持ち込まれたGigabyte製のRTX 5070 Tiです。
Windows上でHWiNFOやMSI Afterburnerなどの一般的な監視ソフトを確認すると、表示された平均GPU温度は約67〜68℃でした。この数字だけを見れば、負荷がかかっているGPUとして極端に高い温度には見えません。
ところが、NVIDIAの内部診断ツール「MODS(Modular Diagnostics Software)」で調べると、GPU内部で最も高温になっている場所を示すホットスポット温度は107℃に達していました。
カードは温度上昇を抑えるために動作クロックを下げる「サーマルスロットリング」を起こしており、性能にも影響が出ていたと報告されています。
ここで注意したいのは、NVIDIA公式仕様に記載されたRTX 5070 Tiの最大GPU温度88℃と、今回の107℃が同じ指標ではないことです。
88℃は通常のGPU温度に関する仕様値で、107℃は内部ツールから読み取った局所的なホットスポット温度です。平均温度が落ち着いていても、GPUの一部分だけがかなり熱くなっている場合があるわけです。
なぜ一般的な監視ソフトでは表示されないのか
RTX 50シリーズでは、ホットスポット温度を一般的な監視ソフトから取得できない状態になっています。
ただし、温度を測る仕組みそのものがGPUからなくなったわけではありません。今回の検証では、NVIDIAが製造時の検査や修理対応などに使う内部向けツールMODSから数値を読み取れました。
MODSは一般ユーザー向けに配布されておらず、通常のWindowsアプリのように手軽に使えるものでもありません。そのため、RTX 50シリーズの利用者が同じ方法でホットスポット温度を確認するのは現実的ではないでしょう。
NVIDIAが一般向けソフトからこの数値を取得できなくした理由は、公表されていません。
今回の事例だけで「過熱を隠すために非表示にした」と判断することはできず、意図については不明です。少し気になる仕様ではありますが、推測と確認済みの事実は分けて見る必要があります。
今回の個体ではTIMの塗布状態に問題
修理担当者がカードを分解したところ、GPUコアとクーラーの間に使われる熱伝導材の状態に問題が見つかりました。
熱伝導材は「TIM(Thermal Interface Material)」とも呼ばれ、GPUが発した熱をクーラーへ効率よく伝える役割を持ちます。
今回のカードでは、TIMがGPUコアの周辺に偏り、中心部分が乾いたような状態になっていました。これによりGPUとクーラーの熱接触が悪化し、局所的な温度上昇を招いた可能性があります。
古いTIMを取り除き、新しい熱伝導材へ交換したところ、ホットスポット温度は107℃から100℃へ低下しました。数字だけを見るとまだ高温ですが、検証ではサーマルスロットリングが解消し、動作も安定したとされています。
ただし、これはあくまで特定のGigabyte製カードで確認された修理事例です。
RTX 5070 Tiの全製品やRTX 50シリーズ全体で、同じ塗布不良が発生していると確認されたわけではありません。今回の1台だけを根拠に、シリーズ全体の品質問題と断定するのは早計です。
平均温度が正常でも症状があれば注意
一般ユーザーがホットスポット温度を直接確認できなくても、過熱による変化が別の症状として現れる場合があります。
高負荷時だけクロックが大きく下がる、ゲーム中に性能が急低下する、ファンが激しく回り続ける、動作が不安定になるといった症状が続く場合は、冷却状態に問題がないか確認したほうがよいでしょう。
もっとも、こうした症状は電源設定やドライバー、ケース内の通気、室温などでも起こります。今回の事例を見て、すぐにグラフィックボードを分解するのはおすすめできません。
分解作業で部品を傷つければ、保証対象外になる可能性があります。米国では、封印シールを剥がしたことや第三者修理を利用したことだけを理由に保証を無効とする表示が問題視されていますが、作業中に生じた損傷まで保証されるわけではありません。保証条件はメーカーや地域によっても異なります。
異常を感じた場合は、まずドライバーやエアフローを確認し、改善しなければ販売店やメーカーのサポートへ相談するのが安全です。高価なGPUだけに、勢いでドライバーを握る前に、保証書を握っておきましょう。
RTX 5070 Tiの過熱修理事例まとめ
今回、過熱症状があったGigabyte製RTX 5070 Tiの1台で、通常の監視ソフトには表示されない107℃のホットスポットと、サーマルスロットリングが確認されました。
カードを分解すると、GPUコア中央のTIMが十分に接触していない状態が見つかり、塗り直し後にはホットスポット温度が100℃へ低下。サーマルスロットリングも解消したと報告されています。
一方で、今回確認されたのは特定の個体です。RTX 5070 Ti全体の欠陥や、NVIDIAが意図的に過熱を隠していることを示すものではありません。
平均GPU温度だけでは局所的な過熱を把握できない場合があること、そして高負荷時の不自然な性能低下が冷却状態を見直す手がかりになることが、今回の事例から分かるポイントです。
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