『Halo: Combat Evolved』でアートディレクターを務めたMarcus Lehto氏が、リメイク版『Halo: Campaign Evolved』のフォアランナー建築に厳しい意見を示しました。とくに批判したのは、ゲーム起動時のメニュー画面に映るHaloリングです。
興味深いのは、Halo Studios側も原作の「神秘性」「暗さ」「スケール」を重視していたこと。目指した方向は近いのに、完成した画面への評価は大きく分かれています。単なる新旧グラフィック比較ではなく、「原作らしさを何で伝えるのか」が見えてくる話です。
原作アートディレクターが批判したのはフォアランナー建築の質感
VGCによると、Lehto氏は2026年8月13日、オリジナル版とリメイク版を比較しながら、フォアランナー建築の表現について自身の考えを投稿しました。問題として挙げたのは、単に「金属か石か」という素材の違いではありません。
Lehto氏は、フォアランナーの技術は金属製でありながら、古代から存在する巨大な遺構として見える必要があると説明しています。ところがリメイク版では、金属表面が比較的新しく見え、メニュー画面のリングも「新品の玩具」のような印象になっていると批判しました。
つまり気にしているのは、精細さそのものではなく、そこから伝わる「年月」と「重み」です。細部を増やしてきれいにするだけでは、原作で感じた不穏さや神秘性まで自動的に戻ってくるわけではない――今回の発言からは、そんなアートディレクション上の違いが見えてきます。
背景の銀河でリングの位置まで示していた
Lehto氏は、リングそのものだけでなく、オリジナル版の背景にも意味があったと説明しています。『Halo: Combat Evolved』のリングは銀河系の外縁部にあり、その位置関係が背景に見える銀河でも示されていたという指摘です。
巨大建築の印象は、モデル単体だけで決まりません。Halo Studios自身もリメイク版のメニュー画面について、原作のスケール、カメラ、空気感に合わせて再制作したと説明しています。リングをどう置き、周囲をどう見せるかまで含めて、スケール感を作ろうとしていたことが分かります。
なお、Lehto氏はリメイク版のビジュアルを全面的に否定しているわけではありません。VGCが紹介した返信では、コヴナントやフラッドの美術表現については好意的に評価しています。批判の焦点は、あくまでフォアランナー建築やリングの見せ方にあります。
Halo Studiosは原作の神秘性を残す方針だったと説明
一方のHalo Studiosも、原作が持っていた神秘性や暗い空気を軽視していたわけではありません。公式インタビューでは、環境そのものに物語を持たせることや、過去のデザインが「なぜ成立していたのか」を理解することを制作上の柱として挙げています。
制作中は『Halo: Combat Evolved』と過去のAnniversary版を繰り返し確認し、新しい案や変更案をライター、デザイナー、プレイヤー、アーティストらで検討したとのこと。原作をそのままなぞるのではなく、原作の意図を理解したうえで現代化する方針でした。
アート素材は一から作り直されましたが、Halo Studiosは目的を「再設計」ではなく「洗練」と位置づけています。Unreal Engine 5によって素材表現やスケール、描画の幅を広げながら、原作の本質を残そうとした形です。
メニュー画面も例外ではありません。Halo Studiosは原作のスケール、カメラ、空気感に合わせて再制作し、ゲーム本編や映像シーンと同じリングモデルを使うことで一貫性を高めたと説明しています。
忠実なリメイクでも視覚情報の優先順位は変わる
今回の食い違いが面白いのは、両者とも「原作らしさ」を重視している点です。Halo Studiosは現代の技術で原作の神秘性やスケールを再構築しようとしましたが、Lehto氏は完成したリングから、その古さや神秘性を十分に感じられないと評価しました。
ここでは「昔の方が正しい」「新しい方がきれい」という二択だけでは語れません。素材の質感、光沢、暗さ、背景、カメラなど、どの情報を強く見せるかによって、同じ巨大構造物でも受ける印象は変わります。
『Halo: Campaign Evolved』は日本時間2026年7月29日に発売。Xbox Series X|S、Windows PC、Steam、PlayStation 5などで展開されています。いま実際に遊べる作品だからこそ、原作と見比べながら「何を残し、何を現代化したのか」を確かめられるのもポイントです。
まとめ
今回の話題を見ると、リメイクで重要なのはモデルを高精細に作り直すことだけではないと分かります。原作で感じた巨大さや神秘性が、どの光、背景、質感、カメラによって生まれていたのか。その判断まで含めて「忠実さ」が問われています。
すでに『Halo: Campaign Evolved』をプレイしているなら、メニュー画面のリングを原作と見比べてみるのも面白いでしょう。金属の光沢だけでなく、背景の銀河や暗部、リングとの距離感まで見ると、Lehto氏とHalo Studiosがそれぞれ何を重視したのかが、より分かりやすく見えてきそうです。
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